若手歯科医の備忘録

大学で矯正を勉強中かつ実家で一般治療を勉強中の若手歯科医の備忘録のつもり

今後の学習の方針

 歯科医になって1年半が経過した。一般治療をやりつつ、矯正を専門にして勤務している。1年半の振り返り

・クラウン・ブリッジ:人並みの形成はできるようになった。超音波スケーラー等を使い、マージンを整えたり、私費で行っても恥ずかしくないような形成を目指したい。

・根治:ロータリーを用いた治療をできるようになった。

・麻酔:有病者の多い昨今、局所麻酔に対するガイドラインは無数にあり、それらを整理したい。また、小児への麻酔について明確なガイドラインは存在していないが、それでもある程度の基準を見つけ出したい(論文を探すか、どこかの教授に聞く?)。また、麻酔量をセーブする傾向があり、麻酔が浅い可能性があるので、良いバランスを見極めたい。

・補修修復:ある程度のインレー形成をできるようになった。また、リング状リテーナーを用いた隣接面の充填を覚えた。私費で出しても恥ずかしくないようなCR充填を覚えたい

・矯正:勉強中。ブラケットポジションを明確に基準化したい。また、プロフィトを読み、治療に対するある程度の指針を掴みたい。

・義歯:無歯顎へ与える咬合様式について、リンガライズドオクルージョンに絞る事ができたので、遠い未来に習得したい。

インプラント:少数歯欠損に対するガイドサージェリーを覚え、簡単なケースのインプラント埋入をできるようになりたい。

・外科:単純抜歯(特にエレベーターの使い方)、フラップ、簡単な智歯抜歯を覚えたい。また、基本的な正常解剖を勉強し直したい。

 

矯正について、差し迫って上達する必要性を感じているので、何かしらセミナー等で勉強したい。

歯科でのクレームについて

 治療に慣れた気になり、慢心があったと自覚していたが、10月だけで自分に対するクレームが2件あった。いずれも矯正治療でのクレームで、勤務先の先生がいなくなったことで激務になり、荒さがあったことは否めないし、力をかける治療を教わっていたため、それに対する説明が足りなかった事が原因かと思われる。

 また、矯正の特殊性として、保護者から希望があっても、患者(子供)にはモチベーションがなかったり、また、1回の治療で成果が出ずに年単位の経過が必要であり、疼痛など差し迫った主訴を解決する一般治療はそれでニーズを満たせることに対して、矯正ではコミュニケーションや丁寧さで患者のニーズを満たす必要があるように思える。

 コミュニケーションは苦手としていることであるが、改善は必要であると思うし、また、最近は忙しさを言い訳に丁寧さが疎かになっていたと反省する。矯正治療についての反省はここまでとする。

 一般治療について、目立ったクレームを耳にしたことはないが、従事していて、患者及び術者が人であるがために患者の主訴を100%解決できるというではないと思う。特に、疾患の進行度(う窩の形態)や患者の個人差(根管の数、形状)などパターンが無数にあり、教科書通り自分の理想通りにいかないケースが存在する。根管治療を例に上げると、どんなファイルを使用しても、根管壁すべてを触る事ができず、可及的な起炎物質や細菌の除去しかできないことや、修復物が天然歯を超えることができないなど、ベストよりも最大限のベターを求めるという方が現実に即しているように思える。

 新しい技術、機器で難易度の高いテクニックを用いずとも仕上がりの良い治療を行う事が様々な治療で可能になっている。ベストは不可能にしても、可能な限りベストに近いベターであり続ける必要があると感じる。

 

仕事について

 現在の仕事について、気を抜いているとヒヤリとした事が起こる。慣れたと思って、体が覚えているままに動くと、ヒヤリとすることがある。

 数多くのヒヤリハットの中にインシデントがあると言われているので、仕事柄常に気を張って、事故を起こさずに仕事をしたい。

 

正しい働き方

 職場で働いて1年経った。多少は信頼されたのか、仕事を任されるようになった。分かっているつもりだったが、些細なことに気を向け、繊細さが必要な仕事であり、それが不可欠であることに今更気づいた。

 今までのやり方は、穴だらけで、仕事のクオリティはおろか、効率が悪く締切に間に合わない可能性がある。せっかく、多少の信頼は得られたのに、ここで仕事を失敗してしまうとそれを失うわけには行かない。更に今後のことも考え、繊細かつ、些細なことも気にかけ、系統立てて効率の良い働き方を見直す他ないと思う。今の働き方では行けないと感じた。

矯正の標準治療とは?

 矯正は、伝統的に権威の意見が優先されやすい学問らしく、さらに系統的に学習することが難しく、そのため専門性が高すぎて立ち入りにくい学問のように思える。また、たしかに権威(経験者)の判断も大事な部分もあり、難しい。(職人器質な分野)

 現在、矯正を専門に勉強を初めて、1年半ほどたった。運良く、良書と出会えて、自分なりに、ある程度固まったお手本として学べるマニュアルのような本を見つけた

・全般についてはProfitをベースにする

MBS(特にSWA)においては、Andrews(正確なFAとFACC、6つの鍵について→これらについて書いている本もあるので、それがあれば読まなくても良い)、MBT™ Versatile(Mclaughlinの2冊目→治療メカニクスについて)

これらを隅々まで読めば、大学に紹介するケース以外はほとんど対応出来ると思った。

 Profitがとにかく情報量が多く、難解であるが、なんとか読み下したい。

星の王子さまを読んで

 謎の機会があり、星のおうじさま読んだ。

 現代病(権力、名声、快楽、金、仕事、研究に取り憑かれている)のような大人のいる星を点々とし、最終的に地球に到着し、きつね(メンター)から、仲良くなること(誰かの特別になること)や、大切ものは目には見えないと教えられ、なんやかんや目的の為に蛇に噛まれて体を捨てることにし、それをぼく(主人公)に教えるというあらすじだった。

 大切なものは目に見えないというワードは度々聞くが、多分これが一番広めた作品ではないだろうか?この教訓は、最近になりよく分かるようになり、実質的な快楽は長持ちしないというか、それだけで満足感は得られないと思い、やはり、目に見えないことも大事に思える。勿論実質的な部分がないと生活出来ないので、そちらも必要であるが、そこに熱中するあまり、目に見えない大切なことを疎かにすることは、なんとなく悲しいことのように思える。

 これは顔貌であるが、目に見えない大切なことを大事に出来るような人生でありたい。

2021年の振り返り

振り返り:悪かった点

・新しい職場に就職したが、同期と大モメした。就職前に噂でヤバいとは聞いていたが、一緒に働いてそのヤバさを実感した。モメにモメまくって、今はある程度のところに落ち着いた。

・自営業の家族の体調が悪くなって、その手伝いなどに駆り出された。今は体調は落ち着いたので良かった。

・仕事について、当初の想定通り慣れずに、怒られまくったが、1年経って慣れるところは慣れてスムーズにできるようになった部分もある。もう少し時間をかければベーシックな仕事も慣れるだろうと考えている。

・夏~秋頃にかけて何もやる気が出ず、鬱っぽくなった。何も考えず雑に遊んだことによって、なんとか踏みとどまった感じはある。

・それまでの趣味をほとんど手につけることが出来なかった:ギター、旅行、ゲーム等それまで続けてきた趣味を継続することが出来なかった。2022年はもう少し手をつけたい。

 

振り返り:良かった点

・自分にとってのボトルネックであるところのポジショニング(診療姿勢、口腔内の見方、ミラテク、器具の当て方)がある程度定まって良かった。

・自分の納得のいくような支台歯形成ができるようになった。学生時代は下手くそ過ぎて自信をなくしまくっていたが、気が狂ったように歯牙模型を削ったお陰で、許せるくらいの形成はできるようになった。ジルコニアなど私費でも通用できるようにさらに上達したい。

・根管治療について:親の体調不良で何度か仕事を任せられたが、その中でも根管治療が難しかった。上顎大臼歯など難易度の高い根管ではファイルを挿入することすら出来なかった。その経験から、透明根管を使った練習や、石井宏先生のペンエンドの勉強をしまくって、基礎からNiTiロータリーなどの学習を深めることが出来た。知識は相当ついたが、それをしっかり再現できるかと言われたら難しいので、手技を上達させたい。

セミナーに行った:相談なしに親がセミナーを予約し、参加した。職場では若手が多く中々仕事が回って来ずに、学習速度が遅く不安な毎日を送っていたのだが、セミナー1日で半年分くらいの学びがあり、また、講師がペンエンドの石井先生だったり、東京の大学の教授だったりレベルが高くて驚いた。半信半疑で参加したのだが、参加するかしないかで手技に割りかし大きな影響が出ると感じたので、可能であるのならば今後も参加しようと思った。

・矯正について:運良くSWAを作ったAndrewsの本を読み、正しいブラケットポジションを知れた。そこから、スライディングメカニクスを報告したMclaughlinの本や、プロフィトの現代歯科矯正学などの名著に出会うことが出来た。プロフィトの本は、難解で分厚い本であるが、矯正治療について包括的で詳細に書かれている本なので、どんなに時間がかかっても読み切りたいと思う。また、手技についても、ブラケット治療は全然出来なかった最初に比べると、指示されたらある程度のことは出来るようになったので、上司からはまだまだだと言われるが、自分としては及第点と感じている。ひとつ上の先輩たちはもっともっとうまく、自分は必要とされているレベルには達していないので、上達したい。